「お茶」と一口に言っても、人それぞれ興味も違えば、習得したい事柄も違います。各人の好みに合わせたテーラーメイドの茶道教室があれば一番良いのでしょうが、運営となると難しい点が出てきます。今日、「お茶を習う」と言うことは点前を習うこととほぼ同義です。
もちろん、そのようなニーズがあることは事実ですので、点前を稽古する教室がたくさんあります。しかし、一方で、ニーズが多岐にわたっているのも事実です。獨楽庵では、すべてのニーズにマッチすることはできませんが、少なくとも点前中心の茶道教室とは異なるアプローチで茶道に接近する機会を提供したいと考えています。
さて、「お茶」の目的の一つに、「おもてなし」があります。古来、茶の湯とは「おもてなし」の方法論でした。「おもてなし」をホームパーティと捉えれば、いかにホームパーティを企画し、招いたお客様に満足して帰っていただくか。「茶道」はそのスタンダードを教授していると考えることができます。スタンダードといったのは、それを身につけておけば、状況に応じていかようにも工夫ができるということを強調したいからです。
一献倶楽部
敢えて「教室」という言葉を使わずに、「一献倶楽部」としました。「おもてなし」を身につけるのに定まった道筋はありません。倶楽部として、仲間と一緒におもてなしを体験し、実際にチャレンジし、足りないところを少しずつ埋めていくというアプローチを取りたいと思います。「一献」とは、「酒の肴一品とそれに合わせた酒」という意味です。「一献」が暗示するように、「一献倶楽部」では懐石と呼ばれる料理の中で酒も出します。なぜなら、それが茶の湯が考える「おもてなし」のスタンダード、すなわち「茶事」の重要な一部だからです。
一献倶楽部の実際
とどのつまり、「一献倶楽部」では「茶事」をしながら「おもてなし」のスタンダードを学びます。「茶事」は概ね次のような流れで行われます。
①亭主迎付 亭主とはホストです。ホストが玄関でお客様を迎えることと思ってください。
②初座入り 茶室つまりパーディルームに入ります。そこには飾り付けがあります。
③懐石 軽い食事と肴、酒が出されます。
④中立 いわゆるトイレ休憩ですね(笑)
⑤後座入り 茶室に戻ります。飾り付けが変わっているかもしれません。
⑥濃茶 亭主が客の面前で濃茶を練ります。
⑦薄茶 亭主が客の面前で茶を点ることに変わりはありませんが、薄茶はカジュアル。
対話を楽しむ時間です。
一献倶楽部では、このような茶事を仲間と繰り返しながら、慣れてきたら交代で亭主役を務めたり、メインゲストになったり、裏方になったりしながらスパイラル的に学ぶを深めていきます。
一献倶楽部は、令和7年4月のスタートを目指していますが、それまでの期間は体験会を開催します。「百聞は一見にしかず」。実際に、獨楽庵を訪れて茶事を体験しながら対話を楽しみませんか。このページで言わんとしていたことがご理解頂けると思います。それは、茶の湯へのアプローチの第一歩です。