一言で茶室といっても「広間」と「小間」では席に入る人の感覚に及ぼす影響が随分と異なる。どう感じるかは人それぞれであるが、小間の方がより感覚に訴えてくると応える人は多いとおもう。
そもそも、現代では(昔も)四畳半以下の空間というのは稀である。たまたま建坪と設計の関係で四畳半以下の部屋を作ることはあり得るだろうが。狭い、暗い場所というと普通の家では、納戸か押し入れということになる。子供のころ押入れや納戸に篭って遊んだ記憶は男子であれば多かれ少なかれあるのではないかと思う。
かく言う小生もその口である。子供の頃、近所に都立高校が有するグラウンドがあった。その一角が雑木林で、その中に秘密の居場所をつくり、「秘密基地」と称して悪友と集まっては遊びの算段をしていた。そのワクワク感は今でも忘れない。
私にとって、小間は「秘密基地」の延長なのだと気がついた。であれば、小間に入る時にワクワク感は納得できる。狭く暗い空間で、火を灯し、膝をよせあって「遊びの作戦会議」ならず「数寄話」に興じる。なんのことはない小学生の遊びがちょっとおすましして高級になっただけではないか。
小間=正式な茶の湯の場 との解釈で、小間での作法に気を配る方は少なくない。周囲に迷惑をかけないだけの最低限のおもいやりと分別があれば、あとは自由に楽しめばいいのが小間という空間だと思う。なにしろ「秘密基地」なのだから。