所詮小唄、されど小唄

小唄の稽古に誘うと、大抵は拒否される。四半世紀前、私が小唄の世界に足を踏み入れた頃は、半ば強制的に習わされたものである。

私の場合は、ある時、地元の先輩であり小唄の泰斗であるハーさんから会社に電話があり、「いまから遊びに行ってもいいか」と。断るどころか大歓迎。しばらく世間話をしたところで突然
 ハーさん 「じゃあ、行こうか」
 私 「どこに行くんですか?」
 ハーさん 「ついてくれば分かる」

で、行った先が小唄の稽古場で、即稽古が始まり入門が決まったというオチ。その時の師匠のもとは15年ほど前に辞し、いまは小唄松峰派二台目家元 松峰照師匠に師事している。そんな流れで小唄の世界に入ったので、誘われたら云々などど言っている猶予はなかった。

そんな経験が根底にあるので、「誘われるうちが花」という言葉の意味みもよくわかっているつもりである。その上で、知人を小唄に誘うとほぼ100%敬遠される。理由の多くは「俺は(私は)音痴なので・・・」というもの。「音痴の原因はキーがあっていないことで、キーさえ合えば音痴は発生しないと」と説明しても、閉じた耳には届かない。

そこで一案、「小唄」とはいうものの、三味線から入ったらどうだろうか。小唄の三味線は唯一撥を使わない。人間が生まれながらに持っている「撥」つまり、「指」を使って弾くわけである。これを「爪弾き」と称するが、実際には爪だけでなく、爪の横の肉もつかうようではあるが、初心者は爪にあれてばとりあえずそれらしい音は発することができる。加えて、小唄は短い。短いものは1分程度である。だから、長歌などの段物にくらべてずっと早く一曲を仕上げることができる。

邦楽に少しでも関心があって、「歌」に二の足を踏んでいる皆さん。三味線は如何ですか?

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