今年になって、獨楽庵に来庵されるお客様が手土産にお酒をお持ちくださることが多くなりました。懐石にお酒はつきものですので、とても嬉しい陣中見舞いです。お陰様で、獨楽庵は酒が尽きることがありません。酒が尽きぬといえば、能「猩々」
『よも尽きじ。万代までの竹の葉の酒。汲めども尽きず飲めども変はらぬ。秋の夜の盃。影も傾く入江に枯れ立つ。足もとはよろよろと。弱り臥したる枕の夢の。覚むると思へば泉は其まま。尽きせぬ宿こそめでたけれ』
親孝行で有名な男、高風があるひ「揚子の市で酒を売れば家は栄える」という夢を見た。高風が揚子で酒を売るようになると店は大いに繁盛し、富を得ることができた。その高風の店に毎日やって来て酒を飲んでも顔色が変わらない男がいるので名前を尋ねると「猩々」と名乗り消えていった。そこで高風は月の美しい夜にしん陽の川のほとりに酒の壺を置いて猩々が現れるの待つと、やがて猩々が現れ友との再会を大いに喜び、酒を酌み交わす。猩々は高風の素直な心を誉めて、汲んでも酒が尽きない壺を与え消えていきます。
獨楽庵はまさに、「尽きせぬ宿」となっております。皆様に感謝。そして、「めでたけれ」。
獨楽庵亭主は、令和7年11月24日、銀座・観世能楽堂で開催されます松響会東京大会にて能・猩々のシテを勤めます。入場無料です。銀座にお越しのおりには、是非お立ち寄りくださいませ。