松峰小唄 「手紙」

先日、松峰照家元と話していて意外だったのが、松峰派の外で人気のある松峰小唄。松峰派は昭和になって旗揚げした小唄界にあっては新派に属する。そのため、新曲を得意とし、先代松峰照師が作曲した小唄は二百を超える。どれもが、現代に生きる我々にも共感しやすい歌詞であるのと同時に、清元や新内の節をうまく取り入れて舞台映えする作品が多い。セリフ入りが多いのも特徴の一つである。

そんな中で、松峰派の外で人気のある作品として挙げられたのが「手紙」。作詞 茂木幸子、作曲 松峰照 昭和53年の作品である。

“秋ですね 月の青さが切なくて 思わず手紙を書いてます あんな別れをしたままで素知らぬふりして気に病んで 意地で堪えているものやっぱり貴方が恋しくて 一人でお酒を呑んでます“

この作品でも、やはり女は強いのである。あんな別れとは、痴話喧嘩の果てに女から別れを突きつけたのだろう。それを悔いながらも、「素知らぬふり」をして堪えているのだ。意地で。でも、忘れられずに酒を呑みながら、手紙を書くのである。どんな内容かは想像にお任せする。

地元の花柳界の芸妓の一人が、「手紙」の振りを持っている。彼女の振りによれば、「手紙を書いてます」のところは巻紙に筆である。それも良い。が、昭和の女である。万年筆が似合うのではないかと思うのだ。

画像は、内容に関係ないフェルメールの「手紙を書く女」

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