灰の手入れ

この時期になると、灰の手入れをします。炉に入れていた灰、風炉で使った灰。全ての灰を篩にかけ、大きなタライに入れます。タライに水を注ぎ、灰を攪拌させると時にブクブクとアクが浮かび上がってきます。この上澄みを捨て、真水を注ぎ灰を攪拌。この作業を4、5回繰り返すと、上澄が透明になってきます。

そうしたら、ドロドロになってタライの底に沈んでいる灰を取り出し、簀に敷いた新聞紙の上に薄く伸ばしていきます。これを一昼夜ひだまりにおいて乾かします。カラカラに乾かすのが秘訣。このカラカラに乾いた灰を再びタライに入れ、ほうじ茶を加えながら砕き揉んでいきます。

こうして湿り気のある綺麗な灰が出来上がります。この灰は甕に入れて保管し、ことあるごとに使用します。ほうじ茶で揉んだ灰、しばらくは湿っていますが、年を越すあたりで乾いてしまいます。湿し灰が本格的に必要になるのは風炉になってから。なにしろ、灰が湿っていないと風炉の中に灰山が作れないのです。つまり、湿した灰が必要な時には夏の炎天下で一所懸命湿した灰はすでに乾き切っているので、再度その灰にほうじ茶を注ぎ揉んで湿し灰を作ることになります。

ではなぜ、夏の暑い盛りに灰をカラカラに乾かした上で、ほうじ茶を注いで揉みに揉んで湿し灰を作るのでしょうか。それは、湿した灰が主眼なのではなく、一年間使った灰を篩い、洗い、揉んで灰を仕立てていくの工程なのです。こうした手入れをうけた灰は一眼でわかります。だから、茶人は炭点前の時に炉中を拝見し、まずもって手入れの行き届いた灰を褒めるのです。その時に、炉中の灰が何年もほったらかしにされていた灰であったら、客はどう感じるでしょうか。

灰の手入れにお金は掛かりません。せいぜい、ほうじ茶くらいです。しかし、想像を絶する時間が必要です。お金では解決できないことに拘る。これが侘び茶なのではないでしょうか。

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