10月12日の東京茶道会、19日の神奈川県戦没者慰霊堂 慰霊茶会と二週連続で席主を勤めました。今週末は、伊勢神宮で家元献茶式。来週からは能の稽古に集中です。11月24日の松響会@観世能楽堂まで泣いても笑ってもあと一ヶ月。悔いの残らぬように自主練に集中します。
私がシテを舞う『猩々』は中国の昔話を題材にしたものです。瀋陽という村に住む高風(こうふう)ある夜、不思議な夢を見ます。揚子のほとりで酒を売れば貴方の家は栄えるだろうというのです。夢のお告げ通り、高風が揚子の市で酒を売っていると、毎日大酒を飲みにくる男がいる。不思議に思って、尋ねると自分は水の中に住む猩々だと伝え、再会を約束して去っていきます。約束の日に高風が揚子のほとりで待っていると猩々が現れ、友との再会を喜び、酒の壺を渡して別れる。その壺は酒を汲んでも汲んでもなくならない不思議な壺でした。その壺のおかげて高風の家は代々栄えたということです。
猩々は、一種の妖怪です。ですが、この曲は家が代々栄えるという祝言曲として有名です。今回の松響会は師匠の十四世林喜右衛門師の襲名記念。祝言曲を舞わせていただく永栄ですので、その気持ちで舞いたいと思います。
十四世林喜右衛門襲名記念『松響会』
日時 令和7年11月24日(振替休日) 9時半開演 *私の出番は16時頃です。
会場 観世能楽堂 銀座・ギンザシックス地下3階
入場料 無料(出入り自由)
お近くにお出かけの際は、ぜひお立ち寄りくださいませ。
【画像は、観世能楽堂鏡の間から見た橋掛】