秋の小唄

四畳半の音曲とも称される「小唄」ですが、秋の唄は意外に少ないようです。秋の夜空に浮かぶ冴えた月はとても粋な気がするのですが。

私が秋と聞いて真っ先に思い浮かべるのは「手紙」という唄です。作詞 茂木幸子、作曲 初代松峰照

「秋ですね 月の青さが切なくて 思わず手紙を書いてます あんな別れをしたままで 素知らぬふりして気に病んで 意地で堪えているものの やっぱり貴方が恋しくて 一人でお酒を飲んでます」

八王子の花柳界には、「手紙」の小唄振り(小唄に合わせた舞踊)を持っている芸者がいました。この芸者の振りでは、巻紙に筆で手紙を書く振りが入っていました。この唄ができたのは昭和の後期です。加えて、松峰小唄に出てくる女性は現代的な自立した女性が多いことを考え合わせると、手紙は万年筆のような気がするのです。

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