茶道宗徧流義士茶会

茶道宗徧流の流祖・山田宗徧は元禄14年の赤穂事件(いわゆる赤穂浪士討ち入り)に深く関わっていました。そして、吉良家、浅野家双方に茶友、弟子がおりました。その人々が斬り合う事件に遭遇した山田宗徧の心を偲び、また両家で命を落とした人々を霊をともらうため、宗徧流ではこの時期に全国で「義士茶会」を開催しています。

最も大きな「義士茶会」が宗徧流門人会が開催するもので、今年は「どうする家康」にちなんだ訳ではありませんが、静岡市の名亭「浮月楼」に400余名を集めて開催されました。茶道宗徧流十一世家元、幽々斎宗匠が勤められた濃茶席。スターは、先代四方斎宗匠が、父君、八世家元・宗有宗匠をイメージして考案された「天球棚」とそれに寄り添う「天球風炉釜」。トルコを愛し、日土友好に貢献された宗有宗匠。天球棚はモスクをイメージさせます。

写真は、先に終了した青山ワタリウム美術館「山田寅次郎展」に展示された「天球棚」。展示会期間中には、この棚に寄り添う「天球風炉釜」の行方は不明でしたが、その後新潟の門人が所持していることが分かり、静岡で出会うことになりました。

席中では、幽々斎宗匠が赤穂事件に関わる山田宗徧と、それが故の宗徧の苦難をお話されました。赤穂事件の当日は、吉良邸で茶会が開かれていました。正客は、山田宗徧からすれば主君の小笠原長重公。これだけでも、宗徧にとっては大事件です。この時期、どうしても「忠臣蔵」が話題に上り、赤穂浪士=忠義、吉良義央公=悪 という図式になりがちですが、双方に思いを馳せ、霊をともらうことが山田宗徧の意思であり、現代の宗徧流門人だと思うのです。

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