屋台酒

前回、「梅は咲いたか」という小唄を紹介しました。実は、松峰小唄には「梅は咲いたか」をアンコにした曲があります。アンコというのは、例えば、どら焼きのアンコのように間に挟まっているという意味です。しかし、そこは和歌の成れの果て、その枕詞のようにその一節が聞こえたら、その情景が頭に浮かばなければなりません。そうして、小唄のような短い楽曲は世界を広げていけるのです。

“どこがいいのかつい気があって 男同士の屋台酒 さしつさされつほろ酔いの 唄は得意の「梅は咲いたか桜はまだかいな」 愉快に飲んで肩をたたいて右左。サヨナラー“

松峰派を代表する曲です。「梅は咲いたか」の一節が挿入されることで、これは春まだ浅い陽気であることが伺えます。そんな春の宵に、たまたま気のあったもの同士、屋台で大いに盛り上がり。でも、いい頃合いで、肩をたたいて左右に分かれる。別れ際に、「サヨナラー」。大人の酒の醍醐味ではないですかね。

梅は咲いたか

白梅の枝に蕾を見つけました。長期予報によると、2月の気温は平年より高いそうです。今年は何時ごろ咲きますか。2月には、倶楽茶会(16日)と名児耶先生の講演会(18日)があります。その頃は、紅白先揃っているかもしれません。お楽しみに。

春を待つウキウキ感の小唄といえばまず、これが頭に浮かびます。
“梅は咲いたか桜はまだかいな 柳なよなよ風まかせ 山吹や浮気で 色ばっかりしょんがいな“

初春から初夏にかけての代表的な花をあげて、その様子を面白く歌ったもの。歌詞に特に深い意味はないと思う。あまりに有名な曲なので、どこの花柳界にいっても地方、立方はいるはずなので、春を待ち遠しく思う季節に縁起担ぎで盛り上がること間違いなし。三味線も難しいところは無いので、弾き語りもすぐにマスターできるでしょう。春のお座敷でビューに、今から仕込みませんか。

消防団出初式

今日は、市役所裏の河川敷で開催された消防団の出初式を見学に行きました。約1700名の消防団員が制服で整列し、一糸乱れず敬礼し態勢を整える様は見ていて清々しく、また頼もしく見えました。消防団員とは、消防署員ではなく民間人ですが、火災が発生すればポンプ車に飛び乗りいち早く現場に急行し、消火にあたってくれます。

最新の設備を擁し日頃から訓練を怠らない“プロ“の消防士だけでなく、消防団という市民レベルのいわば自衛組織があることは、日本人がいかに火災を恐れ心を配ってきたかの証左だと思います。式では、消防団の前身?である火消しの末裔による木遣、ハシゴ乗りが披露されました。少し話が逸れますが、江戸で一番人気があったのは「火消し」だったそうです。それだけ、火を恐れ火消しを頼もしく思っていたのでしょう。

電気化が進み火を見る機会が少なくなった今日、火を正しく使うということが世代を超えて伝えにくくなっています。火を頑なに恐れるのではなく、危険性を理解して正しく使う。このことを次世代に伝えることが大事と思いました。

我々、茶人は日常的に火、炭を扱っています。火を正しく使う。このことを肝に銘じて、また次世代に正しく伝えられるように日頃から気を配っていきたいと思います。