前回、「梅は咲いたか」という小唄を紹介しました。実は、松峰小唄には「梅は咲いたか」をアンコにした曲があります。アンコというのは、例えば、どら焼きのアンコのように間に挟まっているという意味です。しかし、そこは和歌の成れの果て、その枕詞のようにその一節が聞こえたら、その情景が頭に浮かばなければなりません。そうして、小唄のような短い楽曲は世界を広げていけるのです。
“どこがいいのかつい気があって 男同士の屋台酒 さしつさされつほろ酔いの 唄は得意の「梅は咲いたか桜はまだかいな」 愉快に飲んで肩をたたいて右左。サヨナラー“
松峰派を代表する曲です。「梅は咲いたか」の一節が挿入されることで、これは春まだ浅い陽気であることが伺えます。そんな春の宵に、たまたま気のあったもの同士、屋台で大いに盛り上がり。でも、いい頃合いで、肩をたたいて左右に分かれる。別れ際に、「サヨナラー」。大人の酒の醍醐味ではないですかね。