Wabi Yoga

茶道宗徧流には、「Wabi Yoga」と呼ばれる体の使い方の習得を助けるプログラムがあります。中でも、肩甲骨の可動域を広げるエクササイズと、正座して腰を捻るエクササイズは点前の習得を大いに助けることが実感できました。

獨楽庵で稽古していて、なかなか身につけることができなかった「柄杓の扱い」が、Wabi Yogaをした後はスムーズにできることがわかりました。確かに、正座して腰を捻る、肩を捻るという動作は日常であまり見かけません。茶道、それも宗徧流独特の体の使い方です。

宗徧流では、柄杓で汲んだお湯を茶碗にあける時に、右肘が引けることを嫌います。肘を引かずに柄杓の湯を茶碗にあけるためには、肩と腰を捻る動作が不可欠なのです。さらに肩甲骨の可動域を最大限に生かし、釜から湯を汲むときに体を前に傾けない。これも宗徧流の特徴です。

その点前を身につけるためにWabi Yogaは避けて通れなかったのです。

茶室の力

茶室と和室を分ける決定的な違い。それは、空間が茶の湯にためにデザインされているかどうか。実際、床間を備えた和室は星の数ほどもあります。例えば同じ八畳の座敷でも、茶の湯のためにデザインされた茶室と和室は違うのです。違いは、茶道具を飾った時に鮮明になります。乱暴に言ってしまうと、茶室にはどんな茶道具を並べてもひとまず様になってしまうのです。ただの和室ではこうはいきません。

それは茶室というものは、数百年の間、茶の湯道具とインタラクトしてきた結果に他ならないと思います。茶室は茶の湯道具を引き立てるように、茶の湯道具は茶室で引き立つように。お互いにデザインされてきたのだと思います。

ですから、できる限り茶の湯は茶室でしたいと思います。そうでなければ、茶の湯の楽しさ、美しさは伝わなないのではないかと思うのです。西洋化が進む昨今。畳のない家も増えています。ですから茶の湯が日常でなくなっていることは否定しません。しかし、それだからこそ、現存している茶室を駆使して茶室で茶の湯をしたいのです。

こんな思いをnote.comに投稿しました。
https://note.com/souyuu/n/n0b52c173cac7?sub_rt=share_pw

慰霊茶会

東京茶道会が無事終わっても気を抜けません。翌週(10月19日)は、神奈川県戦没者慰霊堂で慰霊茶会です。春秋、年二回開催されている慰霊茶会では、各流派の家元あるいは幹部の先生による献茶が奉仕されています。今回は宗徧流の当番で、家元三女が献茶をご奉仕されます。

私は献茶後の慰霊堂にて、薄茶席を担当いたします。ホールですので客席は椅子。少し気を抜きがちですが、献茶の後の張り詰めた空気を崩さず、宗徧流らしく凛とした席にしたいと考えています。

神奈川県慰霊堂は、太平洋戦争だけでなく明治以降の戦争で命を落とした神奈川県民全てを慰霊されています。「私たちが生きている現在は、先人が命を賭して守ろうとした未来」という言葉を胸に刻み、先人に感謝し平和を祈る時間となることを念じて臨みます。