狭山大茶会

去る11月9日(日)狭山市にある県営稲荷山公園で「狭山大茶会」が開催されました。この日は、獨楽庵で月釜を開催していたため伺うことはできませんでしたが、個人的に思い入れのある茶会です。

私の師匠は狭山市在住でしたので、狭山大茶会にも大変力を入れておられ、毎年この時期になると大茶会の稽古で忙しくなったものです。お茶会でのお点前デビューもこの茶会でしたし、初めての席主もこの茶会で勤めました。

稲荷山公園いっぱいに10席以上の野点席開かれる光景は壮観ですし、狭山が茶どころあることを再認識させてくれます。一口に野点と言っても、各席それぞれに工夫を凝らしているので、退屈な席は一つもありません。一日茶の湯に浸っていられる気持ちの良い茶会でした。

今年は雨混じりで、ひととき激しい雨があった一日でしたが、どのように運営されたでしょうか。盛会であったことと思います。

茶道と能の共通点

11月24日の観世能楽堂に向けて、『猩々』の稽古が佳境に入っています。
これまで何度か書いたと思いますが、改めて能と茶道の共通点について思い知らされています。

能は型の連続です。特に舞はそうです。ですから、能を洗練させるためには一つ一つの型を正確に美しく身につける必要があります。それとは別に、型の組み合わせ、順番を覚えなければなりません。これも、型の連続と考えると理解が進みます。

一方の茶道の点前。これも型の連続と考えることができます。茶碗の持ち方、立ち座り、柄杓の扱い・・・云々。全てが一つ一つの型に分解することができます。ですから、点前を洗練させるためには、一つ一つの型を正確に美しく身につける必要があります。これは、従来「割稽古」と呼ばれていた教授法です。しかし、許状が進み複雑な点前を稽古するようになると、順番に意識がいってしまい、型を身につけることが疎かになるようです。どんなに上級の複雑な点前と言っても、全ては型に分解することができるはずです。意識を順番よりも型に移すことが上達の近道ではないかと思っています。

そして、両者に共通していることは、型は型として完結させ、型の途中に次の型を初めてはならないということ。能でこれをやると、見るからにダラシなく見えるようになります。茶道でもきっとそうだと思います。

一つ一つの型を大切に。型を完結してから、次の型に入る。「型」という意識が大事です。そして、ノリよくつなげること。

ーーー 東京松響会 ーーー

日時 令和7年11月24日(振替休日) 午後9時半開演
    *私の出番は、16時頃
会場 観世能楽堂 東京銀座・ギンザシックス地下3階
入場料 無料

お近くにお出掛けの際には、是非お立ち寄りくださいませ。

Wabi Yoga

茶道宗徧流には、「Wabi Yoga」と呼ばれる体の使い方の習得を助けるプログラムがあります。中でも、肩甲骨の可動域を広げるエクササイズと、正座して腰を捻るエクササイズは点前の習得を大いに助けることが実感できました。

獨楽庵で稽古していて、なかなか身につけることができなかった「柄杓の扱い」が、Wabi Yogaをした後はスムーズにできることがわかりました。確かに、正座して腰を捻る、肩を捻るという動作は日常であまり見かけません。茶道、それも宗徧流独特の体の使い方です。

宗徧流では、柄杓で汲んだお湯を茶碗にあける時に、右肘が引けることを嫌います。肘を引かずに柄杓の湯を茶碗にあけるためには、肩と腰を捻る動作が不可欠なのです。さらに肩甲骨の可動域を最大限に生かし、釜から湯を汲むときに体を前に傾けない。これも宗徧流の特徴です。

その点前を身につけるためにWabi Yogaは避けて通れなかったのです。