梅一輪

獨楽庵の梅が一輪咲きました。去年より10日以上遅い開花です。

小唄「梅一輪」
“梅一輪 一輪ずつに鶯の歌い初め候 春の景色もととのうままに 実は逢いたくなったのさ“

出だしは、松尾芭蕉の弟子・服部嵐雪の「梅一輪 一輪ごとのあたたかさ」から。格調高く始まる。梅が一輪また一輪と花開くとともに、どこからか鶯の歌い初めが聞こえてくる。春まだ浅き気分が伝わる。で、なんだかんだ言い訳しながら、「実は逢いたくなった」という本心。しかし、そこは逢いたいという気持ちを抑えつつ、「逢いたくなったのさ」と。最後の「さ」がこの唄の肝かもしれない。

クラフトビール

お酒は何が好きですか?と問われると今は「クラフトビール」と答える。クラフトビールとは、その“クラフト“が暗示するように、こだわり、職人気質 などがキーワードになる、小規醸造家が産み出す個性豊かなビールである。一頃日本中に生まれた「地ビール」とは一線を画する。

我が町八王子でも、三件の醸造所があり、生のクラフトビールを飲ませる専門店(タップルームと呼ばれる)は、知っているだけでも四軒。他の酒と並べてクラフトビールを提供する店に至っては何軒あるのか想像もつかない。

聞き齧った話をまとめると、ビールの醸造方法には大きくエールとラガーの二つがある。エールは上面発酵、ラガーは下面発酵。どう違うのかははっきりわからないが、上面発酵の方が概して容易に醸造できるらしい。その代わり、雑味が伴う。まあ、これがビールの個性といえば個性なのであるが。一方、ラガーは澄んだキレが売りである。とある、クラフトビール界の泰斗は、ラガーを例えて帝国ホテルのコンソメスープと言った。なるほと、的確な例えだと思う。澄んでいて、極めて美味なるもどこにも尖ったところがない。一見何の変哲もないが癖になる。だが、作るのには膨大な手間が掛かる。

ちなみに、日本の大手四社のビールは全てラガータイプであり、その中でもピルスナーというタイプ。その狭い領域で大会社が競い、差別化を企てているのだから物凄い業界といえよう。一方のエールの領域は限りなく広く見える。いわばブルーオーシャン。小規模醸造家が競うにはこちらの方が理にかなっている。という訳なのか、クラフトビールの大半はエールタイプである。

大英帝国で親しまれたエールタイプの雄ペール・エール。これをインドの同胞に届けようとすると、どうしても高温の地域を通らねばならず品質劣化が甚だしい。これの解決策として、ホップを増量したとこと、華やかで苦味の強いビールが出来上がって人気を博した。これがインドのペール・エール。インディア・ペール・エール、略してIPA。これはビール好き各人に異論はあろうが、わたしはIPAを自分の中の基準に置いている。IPAに対してどう違うか、ということで星の数ほどもあるビールを識別しているわけである。

お化け

花柳界には、節分の日に芸者衆が仮装して福を呼び込もうという風習があります。このことを
「お化け」と称する花柳界は多いと思います。八王子には、古くからの花柳界があります。織物で栄えた頃には百名を越す芸妓が花を競ったと言われていますが、その後世の中の変化とともに花柳界も縮小。一時は芸妓の数も10名を割ろうかというところまで落ち込みました。

そこで奮闘したのが、今や八王子花柳界の代名詞でもあるM姐さんである。手作りのポスターを掲示したり、ネットを活用したり、M姐さんを慕って集まった芸者の卵達はM姐さんの芸に対する真摯な態度を目の当たりにして皆稽古に励み、今や芸のレベルでは関東随一とさえ思います。


八王子花柳界の「お化け」が違うのは、単に仮装するだけではないこと。皆、仕事、お稽古で忙しい中時間を捻出して早くから出し物の練習を積んできます。かつては、二人一組になって贔屓に披露してまわりましたが、ここ数年は大きな会場で全員で寸劇を披露するスタイルに変わりました。


写真は、水戸黄門を題材にした去年の出し物。今年は、獨楽庵がありますので「お化け」にはお目にかかれないと思いますが、成功を祈っています。