狭山大茶会

去る11月9日(日)狭山市にある県営稲荷山公園で「狭山大茶会」が開催されました。この日は、獨楽庵で月釜を開催していたため伺うことはできませんでしたが、個人的に思い入れのある茶会です。

私の師匠は狭山市在住でしたので、狭山大茶会にも大変力を入れておられ、毎年この時期になると大茶会の稽古で忙しくなったものです。お茶会でのお点前デビューもこの茶会でしたし、初めての席主もこの茶会で勤めました。

稲荷山公園いっぱいに10席以上の野点席開かれる光景は壮観ですし、狭山が茶どころあることを再認識させてくれます。一口に野点と言っても、各席それぞれに工夫を凝らしているので、退屈な席は一つもありません。一日茶の湯に浸っていられる気持ちの良い茶会でした。

今年は雨混じりで、ひととき激しい雨があった一日でしたが、どのように運営されたでしょうか。盛会であったことと思います。

欲しいクルマ

今、無性に欲しいクルマがあります。それは、トヨタiQ。2008年から2016年まで販売されたトヨタの小型車です。ただの小型車でないことは、全長3mの車体に、大人4名の乗車を可能にしていることです。軽自動車の規格が全長3.4mですから、軽自動車よりも短いことになります。それでいて、普通車としての安全性も満足しています。

実は、この車は一時期所有していたことがありますが、あまり好印象ではありませんでした。1L3気筒エンジンは走行には十分でしたが、エアコンを動かすと一気に効率が落ちる感覚がありました。その後、追加された1.3Lモデルならそのあたりの余裕もあると思います。オートマ(CVT)であることも、ネガティブな印象につながったのかもしれません。

なぜ今になってiQか。それは、鎌倉のような道の狭い古都に乗り入れるには最適だからです。我が家から鎌倉の宗家への道のり、半分は高速道路です。ですから、それなりの性能と安全性が必要です。しかし一旦鎌倉の街に乗り入れたら、車幅よりも利いてくるのは全長です。全長は、切り返し時に倍になって効いてきます。

程度の良い、iQ 1.3Lマニュアル車があったら真面目に検討したいと思います。

能と茶道の共通点

11月24日の能舞台に向けて稽古も佳境に入っています。能面をつけての稽古では、極限られた視界の中で、いかに正確に舞うことができるか。これには2つの要素があります。一つは、正しい位置に移動することができるか。

もう一つは、限られた視界では限られた視野から自分の立ち位置を俯瞰的に把握しよと、能の情報処理能力が大量に消費されます。最近の乗用車はバードアイと言って自車両をバーチャルに俯瞰するシステムが備わっていますが、それを脳内でやっている感覚です。そのため舞に使われる処理能力が限定され、ポカが出たりします。どちらも視界が極めて限定されることに起因しています。鼻の先数センチにある直径2センチ程の穴が視界の全てです。ここからの景色に頼ることに起因しています。

だったら、「視界に頼らなければいいではないか」。幸いなことに、能舞台には4本の柱があります。これだけに集中して、自分の立ち位置を俯瞰することを放棄できないだろうか。舞もできれば、お囃子に乗せて自然と体が動くようになりたい。あと二週間と数日。どこまで視界を捨てられるか。どこまで舞を体に染み込ませることができるかが勝負です。

お茶の点前もそうです。茶の量、湯の量、お茶の練り具合から始まり点前の隅々まで、いかに視界に頼っていることか。家元で稽古をしていると、まず茶碗を覗き込まないことを徹底されます。そして割稽古。能の型の話を書きましたが、これは茶道の点前で言うと割稽古です。割稽古を徹底して体に染み込ませる。このことで、視界から自由になれるのではないと思うところです。ライトを消して、自然光だけの薄暗がりで稽古することの意義を発見しました。