小間の茶

茶室には、広間と小間の2種類があることは、茶道を嗜む方であれば誰でもご存じと思う。広間とは、四畳半以上の座敷を指し、それ以下は小間と総称される。

広間と小間の最大の違いは、台子が置けるか否か。茶の湯はひとつには権威発揚の面があることは否定できない。古くは、荘厳な書院に台子を荘ることが権威の象徴であった。台子を荘るための最小の広さが四畳半である。なぜなら、点前座に畳一畳が必要だから。

これに対して、小間の点前座は台目といって畳を3/4に切ったり、向板をはめたりしていることが多い。これは、言ってみれば台子を置けない構えにしている訳である。つまり、小間とは台子との決別。つまり、権威との決別。だから、小間席には亭主の創意工夫が溢れている。それを読み解くのも楽しみの一つであるが、ここではその話には触れない。

言いたいことは、小間は自由な空間であるということ。茶道というと手順や作法に決まり事が多く、数十年も稽古を重ねているものでも息苦しく思うことがあると思う。手順や作法は、いわば権威に付随するもの。小間では、権威を遠ざけて自由に楽しみたいものであるが、そこには最低限の規範がなければならない。無手勝流のアナーキー状態では、お互いに嫌な思いをするだけであろうから。それを明文化したのが手順や作法というものだとは思うが、その一つ一つに厳密であるのではなく、その大元の精神に忠実であるべし。あとは、臨機応変にというのが小間の精神だと思う。

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