小間に潜り込む感覚

一言で茶室といっても「広間」と「小間」では席に入る人の感覚に及ぼす影響が随分と異なる。どう感じるかは人それぞれであるが、小間の方がより感覚に訴えてくると応える人は多いとおもう。

そもそも、現代では(昔も)四畳半以下の空間というのは稀である。たまたま建坪と設計の関係で四畳半以下の部屋を作ることはあり得るだろうが。狭い、暗い場所というと普通の家では、納戸か押し入れということになる。子供のころ押入れや納戸に篭って遊んだ記憶は男子であれば多かれ少なかれあるのではないかと思う。

かく言う小生もその口である。子供の頃、近所に都立高校が有するグラウンドがあった。その一角が雑木林で、その中に秘密の居場所をつくり、「秘密基地」と称して悪友と集まっては遊びの算段をしていた。そのワクワク感は今でも忘れない。

私にとって、小間は「秘密基地」の延長なのだと気がついた。であれば、小間に入る時にワクワク感は納得できる。狭く暗い空間で、火を灯し、膝をよせあって「遊びの作戦会議」ならず「数寄話」に興じる。なんのことはない小学生の遊びがちょっとおすましして高級になっただけではないか。

小間=正式な茶の湯の場 との解釈で、小間での作法に気を配る方は少なくない。周囲に迷惑をかけないだけの最低限のおもいやりと分別があれば、あとは自由に楽しめばいいのが小間という空間だと思う。なにしろ「秘密基地」なのだから。

亭主のつぶやき

獨楽庵亭主の小坂宗優です。

このホームページは、茶苑「獨楽庵」に親しんで頂くことが目的ですが、その一助として亭主の呟きも発信してみようと思い立ち、このコーナーを立ち上げました。

私は茶道家としては、茶道宗徧流の端くれであります。鎌倉の家元で修行を続けています。小唄は、かれこれ四半世紀続けていますが、現在は松峰派二代家元・松峰照師に師事しています。また、数年前から観世流シテ方・林宗一郎師の元で能の稽古も続けています。お囃子(小鼓)もちょこっと齧り、一応ギネス記録保持者です。その他、40年にならんとするも上達の兆しさえ見えないテニスとゴルフ。するのは勿論好きですが、素人評論はもっと好きという鬱陶しいおっさんでもあります。

そんな趣味に関わる話。日頃の鬱憤など。風に任せて呟いていこうと思います。どうぞご贔屓に。