雉も鳴かずば

写真の掛け物は、先日の『第一回倶楽茶会』で獨楽庵席をご担当頂いた、無持菴様の置き土産。奈良・興福寺から拝領した太柱を使って、この茶室「獨楽庵」を北鎌倉に建てた、武藤山治の直筆による画賛。

鐘紡の社長を勤めた後、政界に進出する側、時事新報社に加わり政界の闇を告発。それが遠因になってか、昭和9年3月9日 自宅前で暴漢に銃撃を受け翌日死去。前半の「雉も泣かずば・・・」はあまりに皮肉であるが、後半の意は、「正しいことをしているのだから何を恐るるべき」ということ。身の危険を感じながらも、不正を告発せずにはいられない武藤の矜持。

3月10日は、山治九十二回忌。

桑心会別会

昨日(2月18日)は、書道史・書文化研究の第一人者・名児耶明先生をお招きしての講演会でした。桑心会のメンバーだけでなく、書道家、書道愛好家をはじめ日本文化に関心を持つ方々20名以上にご参加頂きました。

中国から伝来した文字(漢字)がどのような変遷をたどり我が国独自の文字である仮名にいたり、さらにそこにどの様に芸術性が込められてきたか。先生の優しさ柔らかさの中に秘めた情熱に参加者もお話に聞き入っていました。文字の散らし方、線の濃淡、空間の使い方・・・などなどは、日本の自然に影響を受けているという先生の説を、実際の書と自然の写真を比べて解説され、すっきりと腑に落ちました。

我々現代人はあまりに活字に慣れすぎ、手描き文字の芸術性について無関心であったことを痛感しました。茶室に掛けられているお軸を鑑賞する際にも、どうしても内容に関心が入ってしまい、書を芸術として鑑賞するという姿勢がありません。なんともったいないことか。

講演会後は、先生を囲んで点心と呈茶。この場でも話に花が咲きました。

獨楽庵では、これからもこのような意義のある講演会を続けていきたいと思います。お楽しみに。また、ご参加をお願いいたします。

第一回 倶楽茶会

昨日(2月16日)は、獨楽庵初の大寄せ茶会『第一回倶楽茶会(くらくちゃかい)』でした。五十名のお客様に朝からご来庵頂きました。獨楽庵では、日頃は『獨楽庵茶会』と称して、一汁三菜の懐石によるコンパクトな茶事を開催していますが、「会員以外でも参加できる」「一人でも気軽に参加できる」茶会をとの声にお応えるかたちで実現することができました。

三畳台目の獨楽庵をゲストの席主にお使い頂くことで、獨楽庵の新たな魅力を引き出すのも『倶楽茶会』の目的の一つです。第一回の今回は、小田原・鎌倉を中心にご活躍中の無持菴・小張あゆみ氏に獨楽庵をお願いしました。湘南をホームとする小張氏らしく、武藤山治翁・好日会を中心に北鎌倉の数寄をテーマに興味深いお席でした。

午前中にいらしたお客様が多く、中には3時間お待ちい頂いたお客様がいらしたことが最大の反省点です。次回は、このような事がないよう、時間指定ができる形でご案内できるよう検討を開始しました。私は、広間で濃茶席を担当しました。小張氏の獨楽庵(薄茶席)と対比が際立つように趣向を考えました。如何でしたでしょうか。個々に反省点はございます。真摯に検討し次回に役立てたいと思います。

ご来庵くださった皆様。心より御礼申し上げます。
第二回もぜひお出ましくださいませ。

【お願い】最小限のスタッフで運営しておりましたため、茶会の映像記録を残す事ができませんでした。差し支えない範囲で結構ですので、画像を共有していただける方がいらっしゃいましたら、獨楽庵までご一報くださいませ(メール info@dokurakuan.com)。

★お忘れ物(鍵、風呂敷)がございました。お心当たりの方は獨楽庵にお申し出ください。ホームページまたはメールですとスムーズに対応できます。