獨楽庵茶会

獨楽庵茶会は、「獨楽庵友の会」の会員の皆様と茶の湯を楽しみながら茶の湯文化を高め広げる活動でもあります。

現在、茶の湯に接するには主に二つの機会があります。一つは、いわゆる「大寄せ茶会」。茶の湯に接点のない方々が「お茶」というと思い浮かべるのはこの大寄せだと思います。数百名のお客様が集まり、席には10名、あるいは数十名になることも。菓子が出され、点前が始まり客は亭主と道具について問答をします。

もう一つは「茶事(ちゃじ)」。前半で懐石、後半で濃茶と薄茶が出されます。客は通常5名以下。一人の場合もあります。昔はこの「茶事」が茶の湯の一般的な形式で「茶会」といえば、今では「茶事」と呼ばれている形式を指しました。この茶事ですが、現在は贅沢になり料理の質、量ともに十分以上であると思います。ですから、茶事=特別な茶、格別なおもてなし というイメージもできています。

獨楽庵では、どちらでもない。ある意味、日常の中の茶の湯を試みています。懐石は、強肴、預け鉢、八寸などを排し、一汁三菜に侘び仕立てに。茶事では、亭主の迎え付けが行われ、その時、主客は初めて顔を合わせます。これは、とても風情のある趣向だと思いますが、お客様にも慣れが必要です。獨楽庵では、一亭(今風に言えば“ワンオペ“)ですので、露地に出られたお客様をナビゲートすることも叶いませんので、現在のところ寄付き(ソファー席)でご挨拶して、そのまま広間(楓の間)にお移り懐石をお召し上がり頂きます。茶事では、炉であれば懐石の前、風炉であれば懐石の後に炭点前をしますが、獨楽庵茶会では懐石(初座)とお茶の席(後座)を分けていますので、炭点前はしておりません。

中立の後、鳴り物にて茶室にお入りいただき、濃茶、薄茶をお出しします。茶室は、11月は三畳台目の船越を使用しています。12月からは太柱の獨楽庵を使おうと考えています。後座でゆっくりお話をしながら、濃茶と薄茶を召し上がって頂いても、トータルで2時間から2時間半です。茶事の要素をいくつか省略してコンパクトにしていますので、「小茶事」とでも呼べるかもしれません。

獨楽庵茶会=小茶事。

今日の獨楽庵 – 2024年11月27日

昨夜の雨が上がり青空が広がっている八王子です。松露が朝日で輝き清々しい秋の朝を迎えました。

今日は、正午に2名のお客様をお迎えします。いつも通り、一汁三菜のミニマルな懐石でコンパクトな茶事を催します。庭が色づきつつある獨楽庵。秋のひととき、獨楽庵は茶の湯の楽しみを再確認する機会になるかもしれません。

京都でセミナーに参加してきました

昨日(11月25日)は獨楽庵をお休みにして、京都でセミナーに参加してきました。主催は、公益社団法人・有斐斎弘道館。江戸時代の儒学者・皆川淇園が開いた学問所跡を保存、活用していこうという有志の集まり。獨楽庵としても、見習うところは多いと思う。

セミナーは題して「英語で伝える茶の湯のこころ」。外国人にいかに茶の湯の魅力を伝えるかという実践的なセミナー。講師のクリスティーナ氏は、チェコ出身の裏千家茶道家。後で知った事であるが、スータートは宗徧流だったとのこと。事前に知っていれば・・・。

前半は座学で、一般に茶の湯の魅力と言われていることや、外国人をおもてなしする際のポイントなどを英語を交えて講習。参加者は、実際に外国人のお客様に茶道体験を提供している方や観光ガイドをなさっている方もいて、質疑も実践的。後半は、寄付→露地・腰掛待合→茶室と移動して、弘道館が外国人のお客様に提供している「体験」をお役様の立場で体験。寄付きでは、しっかりと茶の湯について英語で解説も。露地では、「蹲」の体験。茶室では、クリスティーナ氏の点前で薄茶を一服。

獨楽庵では、茶室では一切の電灯を消して自然光だけで茶を差し上げている。光が足りなければ燭台を出す。この暗室に蝋燭という室礼は、海外の方々には「宗教的」な印象を与えるのではないかという疑念があったが、それについてはクリスティーナ氏に一掃して頂いた。寄付、茶室ではクリスティーナ氏も電灯を消してお客様をお迎えしていた。参加者との質疑の中で、外国からのお客様は最初は緊張もあり集中しているのだが、「躙口」で昂揚してしまい、茶室では集中がなくなり雑然としてしまうという相談があったが、電灯を消す(暗くする)というのは一つの解決策になるということは参加者の間で共有されたようである。

提供する「体験」の中身、スタンス、想定するお客様が微妙に異なるので、全てが参考にできるということではないが、大変有意義なセミナーであったと思う。この成果を獨楽庵でも生かしていきたいと思う。