茶室の力

茶室は、自己主張が極めて強い空間だと思います。施主の意図、茶道観が濃厚に反映されています。茶苑獨楽庵の中心をなす三畳台目台目席「獨楽庵」は、数寄の空間だと思います。

そもそも、茶道に生きる人間として、右勝手(いわゆる逆勝手)は正直、鬼門です。普段さんざ、「畳目いくつ」、右だ、左だと眉間に皺を寄せて点前に向き合っていても、右勝手の前では無力です(普段から、そういうこともあろうかと、稽古をされている方は別ですが)。

加えて、「獨楽庵」には、失敗も笑って済まそうというおおらかさがあります。こんな情景が目に浮かびます。最近、数寄の道に入り、道具もそれなりに揃えた何某を誑かし、獨楽庵で亭主を勤めさせようと、先輩諸氏が画策。新米数寄者の何某は、冷や汗をかきながら右勝手と格闘。その四苦八苦ぶりを先輩諸氏は後席のご馳走とする。こんなシーンが頭に浮かびます。

四苦八苦ぶりを肴にされた新米数寄者が、「この右勝手(逆勝手)どのように使えばよろしいのでしょうか」と先輩諸氏に問うと、先輩は「わしゃ、やったことないから知らん」と。そんな風景を自然と思い浮かべる獨楽庵です。

要は、硬いことは言わずに、お茶を楽しみましょう  と。これが獨楽庵が発するメッセージです。

今日の獨楽庵|2025年11月5日

今日は、暖房が恋しくなるような陽気、三名のお客様をお迎えしました。二名のお連れ様は、もう長く茶道から遠ざかっていらしたとのこと。今日、獨楽庵にお迎えして、昔の楽しかった茶道の記憶が蘇ってきたと仰ってくださいました。

茶道未体験の方を、「茶道沼」に引き摺り込むのはもちろんのこと、遠ざかっていた方々を再び「茶道沼」に呼び込むことも獨楽庵の目的です。

今週末、9日(日)は月釜です。12月は、13日(土)に開催します。11:00、12:30、14:00の3席。詳細、お申し込みは専用ページまで。

今日の獨楽庵|2025年11月3日

今日は、2名のお客様を迎ての獨楽庵茶会(茶事)でした。お一人は、獨楽庵友の会正会員で行事にも積極的に参加頂いている“常連“さん。お連れ様を“和の世界“に引き摺り込もうと画策されている様子が、逞しくも微笑ましく、獨楽庵としましても“全面支援“でございます。

「和の世界」と申しましたが、実際は少し違うようです。自民党総裁選で高市候補(当時)が「背骨を入れる」と表現されましたが、それに近い印象です。日本男児たるもの、背骨をビシッと入れて・・・」 この感覚、わかります。私も、お茶を習い始めたのは「背骨」が欲しかったからなのです。その「背骨」、具体的に話すとかなりの言語能力を必要とされます。「背骨」はあるときは、「マナー」、「作法」だったりします。また、あるときは「信仰」であったりします。

しかもこの「背骨」、通そうと思っても簡単には通してくれません。そもそも、何が背骨になるのかもわかりません。それでも、「茶道」をしていると、背骨ができてきます。獨楽庵は、「茶道」をベースにして、「背骨」を作る場でありたいと思っています。

獨楽庵の庭に「茶の木」があるのを初めて知りました。今日のお客様が教えてくださいました。

ちなみに、茶の木の学名は、カメリア・シネンシス。カメリアとは「ツバキ」です。日本で茶花に使われる「椿」は、カメリア・ジャポニカと分類されています。「シネンシス」とは「中国の」という意味。「ジャポニカ」は「日本の」という意味です。

これからのシーズン、「中国のカメリア(椿)」を喫する部屋(茶室)には、「日本のカメリア(椿)」が掛けられます。