今日の獨楽庵 – 2024年12月2日

今日は師走になって初めてのお客様を獨楽庵(太柱席)にお迎えしました。炉になってから初めてのお客様ですから獨楽庵にとって「炉開き」というべきでしょうか。

三名のお客様は毎月お出ましくださる「常連」です。毎度同じ料理と道具ですが、楽しみに来庵くださります。以前、茶会の一献席でお家元が仰った「茶事の魅力は道具じゃない」というお言葉が分かりかけてきた気がします。

懐石は、イカ昆布締め、蓮根饅頭の煮物、鰆の幽庵焼き、汁は焼き豆腐と湯葉。菓子は、いつもの旭苑で「柚」。
後座は、床 白玉椿を幽々斎宗匠作の尺八、銘「堕落天使」に。釜は肩衝、葵紋。炉縁。水壺は唐津。主茶碗は鈴木五郎造りの志野。濃茶は「雲鶴」、薄茶は「宮の白」、どちらも宇治丸久小山園詰。

師走の獨楽庵

獨楽庵(太柱席)に五徳を据え、お客様を迎える準備ができました。十二月は獨楽庵を中心にお茶をお出ししようと思います。腰掛からは少々距離がありますが、ほんの一瞬、深山に迷い込んだ気分を味わえるかもしれません。亭主がいうのも何ですが、駅から徒歩圏内にこのような環境が残されているのは貴重です。お茶というと、室内の道具に気が入ってしまいがちですが、木々を、木漏れ日を眺めるのも心が洗われる気がします。

いまのところ、12月は15組のお客様をお迎えする予定ですが、まだ空席がございます。また、後半には夜咄もいたします。

獨楽庵で、ご友人と一年を振り返っては如何でしょうか。

太柱席 獨楽庵

11月は、躙口、中柱のある三畳台目席「船越」を使いましたが、この土日でもう一つの小間「獨楽庵」の準備を進めます。「獨楽庵」は「船越」と同じく三畳台目ですが配置が異なり、さらに庭に向けて壁ではなく、障子の構えですので、開放的で洒脱な感じがします。「船越」が“茶道“の席であるとすれば、獨楽庵は“数寄“の席と言えるかもしれません。獨楽庵でと思うと、なぜかイタズラ心が首をもたげてきます(笑)

12月は獨楽庵を中心に使う予定ですが、右勝手(いわゆる逆勝手)向切りですので、点前は少々リハビリが必要かもしれません。ご容赦くださいませ(左勝手の船越でも怪しいところはありましたが(苦笑))。

迎付け〜初座入

今日の獨楽庵は、のんびりと稽古をします。ようやく小間に相応しい陽気になったので、亭主迎付け〜蹲〜初座入りの稽古をしようと思います。

寄付きに集まった客は正客のリードで露地に出て、腰掛待合で気持ちを整えます。茶室からは亭主が現れ、蹲を清めた後、羽根で露路を清めながら歩み寄り、出会い石の前で主客が無言で挨拶をします。客と亭主の最初の出会い。亭主が茶室の戻るのを見届けた客は、襖が閉まる音を合図に蹲に進み身を清めて、いよいよ潜から席入りします。獨楽庵の潜のある小間(「船越席)」では潜から床を正面に臨みます。床には軸が掛かっています。その軸は、今日の茶事の趣向を暗示するものでもあります。

亭主迎付け〜初座入りは、茶事のハイライトの一つです。客は今日の茶事への期待を、亭主は今日の茶事への覚悟を秘めて、出会い石で挨拶。全て無言ですが、饒舌な時間です。

獨楽庵で、社中稽古をなさってみては如何でしょうか。友の会正会員(B)は、年に一日獨楽庵を貸切でご利用いただけます。

*宗徧流では、いわゆる「にじり口」を「潜(くぐり)」と呼びます。流祖・山田宗徧が著した『茶道便蒙抄』『茶道要録』に記述があります。

小唄家元 松峰照稽古場

本日(11月28日)の獨楽庵は、小唄松峰派家元・松峰照師匠の出稽古です。稽古は午後1時から。

見学は随時受け付けています。「小唄ってどんなもの?」と疑問をお持ちの方、百聞は一見にしかず。思いきって見学にいらしてください。

獨楽庵茶会

獨楽庵茶会は、「獨楽庵友の会」の会員の皆様と茶の湯を楽しみながら茶の湯文化を高め広げる活動でもあります。

現在、茶の湯に接するには主に二つの機会があります。一つは、いわゆる「大寄せ茶会」。茶の湯に接点のない方々が「お茶」というと思い浮かべるのはこの大寄せだと思います。数百名のお客様が集まり、席には10名、あるいは数十名になることも。菓子が出され、点前が始まり客は亭主と道具について問答をします。

もう一つは「茶事(ちゃじ)」。前半で懐石、後半で濃茶と薄茶が出されます。客は通常5名以下。一人の場合もあります。昔はこの「茶事」が茶の湯の一般的な形式で「茶会」といえば、今では「茶事」と呼ばれている形式を指しました。この茶事ですが、現在は贅沢になり料理の質、量ともに十分以上であると思います。ですから、茶事=特別な茶、格別なおもてなし というイメージもできています。

獨楽庵では、どちらでもない。ある意味、日常の中の茶の湯を試みています。懐石は、強肴、預け鉢、八寸などを排し、一汁三菜に侘び仕立てに。茶事では、亭主の迎え付けが行われ、その時、主客は初めて顔を合わせます。これは、とても風情のある趣向だと思いますが、お客様にも慣れが必要です。獨楽庵では、一亭(今風に言えば“ワンオペ“)ですので、露地に出られたお客様をナビゲートすることも叶いませんので、現在のところ寄付き(ソファー席)でご挨拶して、そのまま広間(楓の間)にお移り懐石をお召し上がり頂きます。茶事では、炉であれば懐石の前、風炉であれば懐石の後に炭点前をしますが、獨楽庵茶会では懐石(初座)とお茶の席(後座)を分けていますので、炭点前はしておりません。

中立の後、鳴り物にて茶室にお入りいただき、濃茶、薄茶をお出しします。茶室は、11月は三畳台目の船越を使用しています。12月からは太柱の獨楽庵を使おうと考えています。後座でゆっくりお話をしながら、濃茶と薄茶を召し上がって頂いても、トータルで2時間から2時間半です。茶事の要素をいくつか省略してコンパクトにしていますので、「小茶事」とでも呼べるかもしれません。

獨楽庵茶会=小茶事。

今日の獨楽庵 – 2024年11月27日

昨夜の雨が上がり青空が広がっている八王子です。松露が朝日で輝き清々しい秋の朝を迎えました。

今日は、正午に2名のお客様をお迎えします。いつも通り、一汁三菜のミニマルな懐石でコンパクトな茶事を催します。庭が色づきつつある獨楽庵。秋のひととき、獨楽庵は茶の湯の楽しみを再確認する機会になるかもしれません。

京都でセミナーに参加してきました

昨日(11月25日)は獨楽庵をお休みにして、京都でセミナーに参加してきました。主催は、公益社団法人・有斐斎弘道館。江戸時代の儒学者・皆川淇園が開いた学問所跡を保存、活用していこうという有志の集まり。獨楽庵としても、見習うところは多いと思う。

セミナーは題して「英語で伝える茶の湯のこころ」。外国人にいかに茶の湯の魅力を伝えるかという実践的なセミナー。講師のクリスティーナ氏は、チェコ出身の裏千家茶道家。後で知った事であるが、スータートは宗徧流だったとのこと。事前に知っていれば・・・。

前半は座学で、一般に茶の湯の魅力と言われていることや、外国人をおもてなしする際のポイントなどを英語を交えて講習。参加者は、実際に外国人のお客様に茶道体験を提供している方や観光ガイドをなさっている方もいて、質疑も実践的。後半は、寄付→露地・腰掛待合→茶室と移動して、弘道館が外国人のお客様に提供している「体験」をお役様の立場で体験。寄付きでは、しっかりと茶の湯について英語で解説も。露地では、「蹲」の体験。茶室では、クリスティーナ氏の点前で薄茶を一服。

獨楽庵では、茶室では一切の電灯を消して自然光だけで茶を差し上げている。光が足りなければ燭台を出す。この暗室に蝋燭という室礼は、海外の方々には「宗教的」な印象を与えるのではないかという疑念があったが、それについてはクリスティーナ氏に一掃して頂いた。寄付、茶室ではクリスティーナ氏も電灯を消してお客様をお迎えしていた。参加者との質疑の中で、外国からのお客様は最初は緊張もあり集中しているのだが、「躙口」で昂揚してしまい、茶室では集中がなくなり雑然としてしまうという相談があったが、電灯を消す(暗くする)というのは一つの解決策になるということは参加者の間で共有されたようである。

提供する「体験」の中身、スタンス、想定するお客様が微妙に異なるので、全てが参考にできるということではないが、大変有意義なセミナーであったと思う。この成果を獨楽庵でも生かしていきたいと思う。

今日の獨楽庵 – 2024年11月24日

小春日和の八王子。今日の獨楽庵は一客一亭。初座の床は大徳寺翠巌和尚の『力囲(国かまえの中に力』 「りきい」と読む。利休の遺偈「人生七十 力囲希咄 云々」にも出てくる。読めはしないが、翠巌和尚の賛から想像するに、利休の自害に際しての心境のようである。それまで身につけた全てを投げ捨てて、力囲の境地に達するということらしい(間違っていたらごめんなさい)。

この「力囲(りきい)」という言葉は、宗徧流にとってはとても重要な言葉なのである。それは、玄伯宗旦と弟子の山田宗徧が、ある時、利休の遺偈に接し、山田宗徧が「力囲」をとって「力囲斎(りきいさい)」と名乗り、宗旦は「咄」ととって「咄々斎(とつとつさい)」と名乗ったという故事による。ちなみに、当代家元考案の立礼机は「力囲棚」と名付けられている。

話が逸れたが、懐石はいつものとおりの侘び仕立て。折敷には向付としてほたて貝柱の昆布締め。飯と汁。汁の実は里芋。煮物は海老真薯、舞茸を添えて。焼き物は鰤の照り焼き。香のもの、湯桶。菓子はいつもの旭苑製で「山茶花」。

後座の床は宗徧流二世・山田宗引作の竹二重伐。花は、白玉椿。茶入は瀬戸の累座肩衝。薄茶盛は、宗和好みの溜塗り面通。茶碗は、幕末の関白・鷹司政通公の小ぶりな赤楽茶碗。この時期の一客一亭にはもってこいの茶碗。茶杓は、成瀬宗巨 銘「無一物」。

一客一亭。お客様は「贅沢すぎる時間」と感謝されるが、それは亭主も同じ。一客一亭の心に立脚した茶の湯でありたいと思う。

今日の獨楽庵 – 2024年11月22日

待ちに待った11月です。各所で、口切り、開炉の茶事で『茶人の正月』をお祝いしていることと思います。獨楽庵でも亥の日である11月7日に炉を開きました。現在、楓の間と船越の準備が整っています。太柱席こと獨楽庵は12月の開炉を目指して準備を進めています。

今日はお客様もなく静かな獨楽庵です。明日は、亭主が研修会に参加のため閉館です。日曜日から再開します。