茶飯釜

「茶飯釜(さはんがま)」とは、一つの釜でご飯と炊き、茶を点てること。通常の茶事では、最初の膳に向付、汁とともに蓋付きの飯碗に盛られた白米が乗せられる。汁ととともに、白米を食することから懐石が始まる。懐石にご飯は欠くべからざるものなのである。

茶飯釜は、その白米をお客様の面前で炊いてしまおうという趣向である。茶事では入席時刻はあらかじめ客に知らさせているので、その時刻に合わせてご飯を炊くことができる。そうすべきである。であるから、客の面前で飯を炊かなければならないのは不時の客(予定外に訪ねてきた客)であるか、何らかの理由で十分な懐石が用意できないケースである。それ故、茶事の招待に「茶飯釜でおもてなし致します」などど書いてはならないと教わった記憶がある。

一方、一つの釜でご飯も炊き、茶も点てるのは手元不如意の侘び人ならではであり、その意味で「茶飯釜」を究極の侘び茶と称えるむきもある。加えて、茶飯釜には普段と異なる準備が要求されるのも事実である。なにしろ、客の面前で飯を炊くのであるから。この二つが相まって、「茶飯釜」を神聖化する空気がある。曰く、究極のおもてなしである、と。この説には異を唱えたいが、それば別の機会に譲るとして、そう難しく考えない方がいいのでは?という提案である。春まだ浅き四月。冬の間大いにお世話になった炉に惜別の思いをこめ、「茶飯釜」で和気藹々と茶を楽しんではどうだろうか。大抵の不手際は飯が炊ける時のなんとも言えない香と音で忘れられてしまうことだろう(などど、期待してはいけないのだが)。

春の特別茶会

獨楽庵で日常的に開催しております『獨楽庵茶会』は初対面の方と相席しないよう一席一組を原則としておりますが、会員の皆様から「一人で気軽に参加できるイベントを」「初対面の方との相伴が楽しい」という声を頂戴しています。

そのような声にお応えして、2月には「獨楽庵風大寄せ茶会〜第一回倶楽茶会」を開催いたしました。今回は、4月に開催を計画しております「第二回倶楽茶会」のお知らせです。

開催概要 *計画中につき、変更の可能性もございます。

開催日 4月9日から5月6日の複数日 *後日正式にご案内いたします。
時間  11時30分席入
内容  茶飯釜の茶事 *各日、6名様まで
会費  6,000円
申込  お一人からお申込いただけます。
    申し込みは、ホームページ、ファクスなどで

炉で炊かれるご飯を囲み、春のよき日を和やかに過ごしたいと思います。

詳しくは、正式案内をお待ちください。

うつろいの席

太柱がアイコンの獨楽庵は、うつろいの席です。まず、庭に向いた西側は障子三枚で閉じられていますので、陽の傾きで明るさが変わるのがはっきりとわかります。また、南側の窓では障子に映った木の影がなんともいえない風情を魅せます。

そして、床。太柱に目が入って気づきにくいのですが、点前座と床を仕切る壁に下地窓が設けられているのが、獨楽庵の特徴です。点前座の向板に燭台を置くと下地窓の影が床に映り、それが時間とともにうつろう様子を楽しむことができます。床前は正客の席と言われますが、まさに特等席だと思います。