太柱がアイコンの獨楽庵は、うつろいの席です。まず、庭に向いた西側は障子三枚で閉じられていますので、陽の傾きで明るさが変わるのがはっきりとわかります。また、南側の窓では障子に映った木の影がなんともいえない風情を魅せます。
そして、床。太柱に目が入って気づきにくいのですが、点前座と床を仕切る壁に下地窓が設けられているのが、獨楽庵の特徴です。点前座の向板に燭台を置くと下地窓の影が床に映り、それが時間とともにうつろう様子を楽しむことができます。床前は正客の席と言われますが、まさに特等席だと思います。
太柱がアイコンの獨楽庵は、うつろいの席です。まず、庭に向いた西側は障子三枚で閉じられていますので、陽の傾きで明るさが変わるのがはっきりとわかります。また、南側の窓では障子に映った木の影がなんともいえない風情を魅せます。
そして、床。太柱に目が入って気づきにくいのですが、点前座と床を仕切る壁に下地窓が設けられているのが、獨楽庵の特徴です。点前座の向板に燭台を置くと下地窓の影が床に映り、それが時間とともにうつろう様子を楽しむことができます。床前は正客の席と言われますが、まさに特等席だと思います。
早いもので、もう3月。暖かい日が続いたかと思うと寒の戻り。まさに三寒四温を繰り返しながら春に近づいていることが実感できます。庭の梅も、遅れていた紅梅が見頃を迎えています。白梅は散り始めましたが、現在、紅白咲揃っています。この風情もあと1週間あるかどうか。
そうしているうちにも春は確実に近づいています。4月になれば、冬の間あれだけ恋しかった火を遠ざけたいと思う日もあることでしょう。その頃になれば、炉を閉じ風炉の設いになります。炉の季節はあと僅かです。獨楽庵では、広間と獨楽庵の五徳を外し釣釜にしました。
釣釜といえば、茶飯釜。今年は、炉の名残に茶飯釜をしてみようと考えています。友の会の会員様からは初対面の方と相席できる茶会もとの声を頂いています。茶飯釜を交えてそのような茶会も企画してみたいと思います。
詳細固まりましたら、ホームページやSNS、LINEでお知らせします。まだ、100%実現できるかは分かりませんが、前向きに進めたいと思います。
宗徧流流祖・山田宗徧は、生涯に二冊の茶道指南書を上梓しているが、そのうちの一つ『茶道要録』には釣釜の心得として、
一、釣釜之事 鎖は老若共に用ゆ。広座席には必ず用いてよし。四方釜は必ず釣り用ゆ。炉の五徳には据えず。
一、自在鈎之事 是は以後五十歳以上の者 師たる者の免を得て用ゆ。竿竹の節ノ数、半を用ゆ。その恰合見所あり。長さ定あり・・・総じて釣物は中柱無の時の事なり。
一、蛭鈎之事 座席の勝手に拘らず、定て右の方へ鈎を向けて打つべし。茶堂前に居て我が右の方なり。鈎に形あり。
興味深いのは、鎖は年齢に関わらず使ってよいが、竹の自在は五十歳以上、しかも師匠の許しを得て使う事と書かれている。私はすでに還暦を過ぎているので、年齢制限はクリアしているが、果たして師匠(家元)から許しを頂けるのだろうか。
また、釣釜は総じて中柱がない時に用いるとある。獨楽庵でいえば三畳台目の船越席は中柱があるので釣釜は使えないことになる。確か、蛭鈎はあったと思うが。一方の獨楽庵は、太柱が特養であるが、あの太柱は中柱ではないので釣釜は使ってよいことになる。鎖よりも自在の方が風情があろうが、それはお家元からお許しが頂けるかどうかにかかっている。
暖かくなって釣釜を使う機会が増え、時に四方釜を使うこともある。四方釜は、五徳に据えず必ず釣るようにと流祖の教えであるので、獨楽庵ではそのように致します。