朝から冷たい雨が降る八王子。獨楽庵の庭はしっとりと濡れて急に緑が生き生きと。まさに恵みの雨でした。今日の獨楽庵は一客一亭。数寄話に花が咲きました。やはり、一客一亭が、侘び茶の原点と再確認しました。こうなると、三畳台目でも冗長に感じます。もっとタイトに。一客一亭には、一畳台目がふさわしいのではないでしょうか。これまで使われてこなかった、利休好みの一畳台目席。今年は、積極的に使ってみようと思います。
初座の掛け物は引き続き、大徳寺祥山和尚の『破沙盆』。懐石は、向付にほたて貝柱の昆布締め。煮物は海老真薯。焼き物は鮭の西京付け。菓子は、定番の旭苑「初霜」。後座は船越で。床に宗徧流二世・山田宗引の竹二重伐。山田宗徧は、『茶道便蒙抄』で二重伐は上に花と。下は「入れずとも苦しからず」。これも、他流のお客様との話のタネに。釜は、肩衝。炉縁は南禅寺古材。流祖宗徧は、炉縁について節分までは塗り。立春からは洗縁(生地)と。春になると塵、埃がたつから。炉縁を洗えということか。しかし、侘び茶人は通期で掻き合わせでよいと。侘び茶人は塗りと生地と、二つの炉縁を所持することはできないから。
茶入れは、北村裕庵所持の鷲棗。薄茶盛は、阿古陀。茶平一斎造。水壺は大胆な造形の志野。茶碗は、関白・鷹司政通公の赤楽。一客に適した小ぶりな楽茶碗。
つくづく、現代陶芸家の茶碗は大き過ぎると思う。やはり、芸術家としての血が騒ぐのだろうか。職人に徹した端正で”小ぶり”な茶碗を見つけたいと思う。