迎付け〜初座入

今日の獨楽庵は、のんびりと稽古をします。ようやく小間に相応しい陽気になったので、亭主迎付け〜蹲〜初座入りの稽古をしようと思います。

寄付きに集まった客は正客のリードで露地に出て、腰掛待合で気持ちを整えます。茶室からは亭主が現れ、蹲を清めた後、羽根で露路を清めながら歩み寄り、出会い石の前で主客が無言で挨拶をします。客と亭主の最初の出会い。亭主が茶室の戻るのを見届けた客は、襖が閉まる音を合図に蹲に進み身を清めて、いよいよ潜から席入りします。獨楽庵の潜のある小間(「船越席)」では潜から床を正面に臨みます。床には軸が掛かっています。その軸は、今日の茶事の趣向を暗示するものでもあります。

亭主迎付け〜初座入りは、茶事のハイライトの一つです。客は今日の茶事への期待を、亭主は今日の茶事への覚悟を秘めて、出会い石で挨拶。全て無言ですが、饒舌な時間です。

獨楽庵で、社中稽古をなさってみては如何でしょうか。友の会正会員(B)は、年に一日獨楽庵を貸切でご利用いただけます。

*宗徧流では、いわゆる「にじり口」を「潜(くぐり)」と呼びます。流祖・山田宗徧が著した『茶道便蒙抄』『茶道要録』に記述があります。

小唄家元 松峰照稽古場

本日(11月28日)の獨楽庵は、小唄松峰派家元・松峰照師匠の出稽古です。稽古は午後1時から。

見学は随時受け付けています。「小唄ってどんなもの?」と疑問をお持ちの方、百聞は一見にしかず。思いきって見学にいらしてください。

獨楽庵茶会

獨楽庵茶会は、「獨楽庵友の会」の会員の皆様と茶の湯を楽しみながら茶の湯文化を高め広げる活動でもあります。

現在、茶の湯に接するには主に二つの機会があります。一つは、いわゆる「大寄せ茶会」。茶の湯に接点のない方々が「お茶」というと思い浮かべるのはこの大寄せだと思います。数百名のお客様が集まり、席には10名、あるいは数十名になることも。菓子が出され、点前が始まり客は亭主と道具について問答をします。

もう一つは「茶事(ちゃじ)」。前半で懐石、後半で濃茶と薄茶が出されます。客は通常5名以下。一人の場合もあります。昔はこの「茶事」が茶の湯の一般的な形式で「茶会」といえば、今では「茶事」と呼ばれている形式を指しました。この茶事ですが、現在は贅沢になり料理の質、量ともに十分以上であると思います。ですから、茶事=特別な茶、格別なおもてなし というイメージもできています。

獨楽庵では、どちらでもない。ある意味、日常の中の茶の湯を試みています。懐石は、強肴、預け鉢、八寸などを排し、一汁三菜に侘び仕立てに。茶事では、亭主の迎え付けが行われ、その時、主客は初めて顔を合わせます。これは、とても風情のある趣向だと思いますが、お客様にも慣れが必要です。獨楽庵では、一亭(今風に言えば“ワンオペ“)ですので、露地に出られたお客様をナビゲートすることも叶いませんので、現在のところ寄付き(ソファー席)でご挨拶して、そのまま広間(楓の間)にお移り懐石をお召し上がり頂きます。茶事では、炉であれば懐石の前、風炉であれば懐石の後に炭点前をしますが、獨楽庵茶会では懐石(初座)とお茶の席(後座)を分けていますので、炭点前はしておりません。

中立の後、鳴り物にて茶室にお入りいただき、濃茶、薄茶をお出しします。茶室は、11月は三畳台目の船越を使用しています。12月からは太柱の獨楽庵を使おうと考えています。後座でゆっくりお話をしながら、濃茶と薄茶を召し上がって頂いても、トータルで2時間から2時間半です。茶事の要素をいくつか省略してコンパクトにしていますので、「小茶事」とでも呼べるかもしれません。

獨楽庵茶会=小茶事。

今日の獨楽庵 – 2024年11月27日

昨夜の雨が上がり青空が広がっている八王子です。松露が朝日で輝き清々しい秋の朝を迎えました。

今日は、正午に2名のお客様をお迎えします。いつも通り、一汁三菜のミニマルな懐石でコンパクトな茶事を催します。庭が色づきつつある獨楽庵。秋のひととき、獨楽庵は茶の湯の楽しみを再確認する機会になるかもしれません。

京都でセミナーに参加してきました

昨日(11月25日)は獨楽庵をお休みにして、京都でセミナーに参加してきました。主催は、公益社団法人・有斐斎弘道館。江戸時代の儒学者・皆川淇園が開いた学問所跡を保存、活用していこうという有志の集まり。獨楽庵としても、見習うところは多いと思う。

セミナーは題して「英語で伝える茶の湯のこころ」。外国人にいかに茶の湯の魅力を伝えるかという実践的なセミナー。講師のクリスティーナ氏は、チェコ出身の裏千家茶道家。後で知った事であるが、スータートは宗徧流だったとのこと。事前に知っていれば・・・。

前半は座学で、一般に茶の湯の魅力と言われていることや、外国人をおもてなしする際のポイントなどを英語を交えて講習。参加者は、実際に外国人のお客様に茶道体験を提供している方や観光ガイドをなさっている方もいて、質疑も実践的。後半は、寄付→露地・腰掛待合→茶室と移動して、弘道館が外国人のお客様に提供している「体験」をお役様の立場で体験。寄付きでは、しっかりと茶の湯について英語で解説も。露地では、「蹲」の体験。茶室では、クリスティーナ氏の点前で薄茶を一服。

獨楽庵では、茶室では一切の電灯を消して自然光だけで茶を差し上げている。光が足りなければ燭台を出す。この暗室に蝋燭という室礼は、海外の方々には「宗教的」な印象を与えるのではないかという疑念があったが、それについてはクリスティーナ氏に一掃して頂いた。寄付、茶室ではクリスティーナ氏も電灯を消してお客様をお迎えしていた。参加者との質疑の中で、外国からのお客様は最初は緊張もあり集中しているのだが、「躙口」で昂揚してしまい、茶室では集中がなくなり雑然としてしまうという相談があったが、電灯を消す(暗くする)というのは一つの解決策になるということは参加者の間で共有されたようである。

提供する「体験」の中身、スタンス、想定するお客様が微妙に異なるので、全てが参考にできるということではないが、大変有意義なセミナーであったと思う。この成果を獨楽庵でも生かしていきたいと思う。

今日の獨楽庵 – 2024年11月24日

小春日和の八王子。今日の獨楽庵は一客一亭。初座の床は大徳寺翠巌和尚の『力囲(国かまえの中に力』 「りきい」と読む。利休の遺偈「人生七十 力囲希咄 云々」にも出てくる。読めはしないが、翠巌和尚の賛から想像するに、利休の自害に際しての心境のようである。それまで身につけた全てを投げ捨てて、力囲の境地に達するということらしい(間違っていたらごめんなさい)。

この「力囲(りきい)」という言葉は、宗徧流にとってはとても重要な言葉なのである。それは、玄伯宗旦と弟子の山田宗徧が、ある時、利休の遺偈に接し、山田宗徧が「力囲」をとって「力囲斎(りきいさい)」と名乗り、宗旦は「咄」ととって「咄々斎(とつとつさい)」と名乗ったという故事による。ちなみに、当代家元考案の立礼机は「力囲棚」と名付けられている。

話が逸れたが、懐石はいつものとおりの侘び仕立て。折敷には向付としてほたて貝柱の昆布締め。飯と汁。汁の実は里芋。煮物は海老真薯、舞茸を添えて。焼き物は鰤の照り焼き。香のもの、湯桶。菓子はいつもの旭苑製で「山茶花」。

後座の床は宗徧流二世・山田宗引作の竹二重伐。花は、白玉椿。茶入は瀬戸の累座肩衝。薄茶盛は、宗和好みの溜塗り面通。茶碗は、幕末の関白・鷹司政通公の小ぶりな赤楽茶碗。この時期の一客一亭にはもってこいの茶碗。茶杓は、成瀬宗巨 銘「無一物」。

一客一亭。お客様は「贅沢すぎる時間」と感謝されるが、それは亭主も同じ。一客一亭の心に立脚した茶の湯でありたいと思う。

今日の獨楽庵 – 2024年11月22日

待ちに待った11月です。各所で、口切り、開炉の茶事で『茶人の正月』をお祝いしていることと思います。獨楽庵でも亥の日である11月7日に炉を開きました。現在、楓の間と船越の準備が整っています。太柱席こと獨楽庵は12月の開炉を目指して準備を進めています。

今日はお客様もなく静かな獨楽庵です。明日は、亭主が研修会に参加のため閉館です。日曜日から再開します。

スケジュール更新

来年3月までのスケジュールを更新しました。ホームページでご確認ください。
【メニュー】→【カレンダー】でご覧いただけます。

あわせて3月までの申込ができるようになりました。ご活用くださいませ。
【メニュー】→【獨楽庵の茶会】→【茶会お申込み】からご利用頂けます。
こちらからもアクセス可能です。

空席状況は常に変化しています。最新の情報はホームページでご確認ください。

今日の獨楽庵 – 2024年11月20日

朝から冷たい雨が降る八王子。獨楽庵の庭はしっとりと濡れて急に緑が生き生きと。まさに恵みの雨でした。今日の獨楽庵は一客一亭。数寄話に花が咲きました。やはり、一客一亭が、侘び茶の原点と再確認しました。こうなると、三畳台目でも冗長に感じます。もっとタイトに。一客一亭には、一畳台目がふさわしいのではないでしょうか。これまで使われてこなかった、利休好みの一畳台目席。今年は、積極的に使ってみようと思います。

初座の掛け物は引き続き、大徳寺祥山和尚の『破沙盆』。懐石は、向付にほたて貝柱の昆布締め。煮物は海老真薯。焼き物は鮭の西京付け。菓子は、定番の旭苑「初霜」。後座は船越で。床に宗徧流二世・山田宗引の竹二重伐。山田宗徧は、『茶道便蒙抄』で二重伐は上に花と。下は「入れずとも苦しからず」。これも、他流のお客様との話のタネに。釜は、肩衝。炉縁は南禅寺古材。流祖宗徧は、炉縁について節分までは塗り。立春からは洗縁(生地)と。春になると塵、埃がたつから。炉縁を洗えということか。しかし、侘び茶人は通期で掻き合わせでよいと。侘び茶人は塗りと生地と、二つの炉縁を所持することはできないから。

茶入れは、北村裕庵所持の鷲棗。薄茶盛は、阿古陀。茶平一斎造。水壺は大胆な造形の志野。茶碗は、関白・鷹司政通公の赤楽。一客に適した小ぶりな楽茶碗。

つくづく、現代陶芸家の茶碗は大き過ぎると思う。やはり、芸術家としての血が騒ぐのだろうか。職人に徹した端正で”小ぶり”な茶碗を見つけたいと思う。

今日の獨楽庵 2024年11月18日

今日の獨楽庵は、11時より友の会の正会員様と3名のお連れ様をお迎えしました。軸は大徳寺・祥山和尚一行「破沙盆」。懐石はいつものとおり、一汁三菜の侘び仕立て。今日は、飯、汁(里芋入り)、向付(鯛の昆布締)、煮物椀(海老真薯)、焼物(鮭の西京漬け)、香の物、湯桶でした。菓子は、獨楽庵の定番、西八王子『旭苑』の「山茶花」。楓の間で懐石を差し上げた後、中立。

後座は、三畳台目の船越席にて。床に、宗徧流二世家元・山田宗引の竹二重伐に、白玉椿。釜は肩衝、葵紋。水壺は大胆な造形の志野。茶入は、鈍翁「大夫棗」。東海寺の沢庵和尚遺愛の松をもって渡辺喜三郎作。茶碗は、鷹司政通公の小ぶりの楽茶碗。手作りか。濃茶は宗徧流家元・幽々斎好み「九重の昔」。丸久小山園詰。替茶碗は伊羅保。薄茶盛は先日の建長寺でも使用した阿古陀。輪島・茶平一斎造。薄茶は、濃茶と同じく幽々斎好み「四方の昔」。丸久小山園詰。

獨楽庵茶会は、一般的な茶事と比べ、懐石をシンプルにし亭主向え付け、初炭・後炭を省略したコンパクトな構成とし、その分茶席での対話を充実しようと考えています。