霜月体験茶会始まりました

楓の間(広間)と船越席(三畳台目席)の準備が整い、3組のお客様をおもてなししました。午後からの席は、灯りを落とした小間席に風情があります。

小間席に掛けたのは大徳寺翠巌和尚の「力囲」(国構えに力)。利休の遺偈「人生七十 力囲希咄 吾這寶剱 祖仏共殺」からです。「力囲希咄」は現代語に訳すに訳せない言葉。「エイヤー」という勢だという説もあります。この「力囲希咄」の力囲をとって山田宗徧は力囲斎を名乗り、師匠の千宗旦は咄々斎を名乗ります。「力囲」は宗徧流にとって最も重要な言葉の一つなのです。

「霜月体験茶会」前半は、明日10日まで。後半は、23〜26日に開催します。24日は午前午後4席、25日は午後に空きがあります。

ご予約はホームページ、「メニュー」→「お茶会申し込み」からお願いします。

茶席「獨楽庵」について〜その2

獨楽庵は、三畳台目右勝手というお話をしました。席の構えとして、もう一項目「向切り(むこうぎり)」が加わります。繋げると、「三畳台目向切右勝手」ということになります。向切とは、点前座(台目畳)の中に炉がしつらえてある形態です。客座側に設えてあれば「向切」、逆に勝手側に設えてるのを「隅炉(すみろ)」と呼びます。

茶道のお稽古は、殆どの場合「左勝手(本勝手)」で行います。稽古場を含む殆どの茶室が左勝手にできています。ですから、急に、右勝手でと言われると、私を含め正直平穏ではいられません。頭の中でシュミレーションを繰り返して点前に臨むということになります。しかも、点前の途中も、右だったか左だったかと冷や汗ものです。

獨楽庵のように右勝手の向切の場合、点前から見て左前に釜、右前に水壺(水指)が置き合わされます。お茶をなさっている方は直ぐにお気づきと思いますが、これは風炉の置き合わせと同じです。ですから、点前も逆勝手とはいえ基本は通常(左勝手)の風炉の点前と同じです。ただ、下座(客座と反対側)で行う所作が、右側になるという違いがあります。

これが、右勝手(逆勝手)の隅炉となると頭が混乱しますが、獨楽庵はそこまでハードルが高くありません。ということもあって、もっと獨楽庵を活用していこうと思います。

茶席「獨楽庵」について〜三畳台目右勝手

茶寮「獨楽庵」には、三畳台目の小間席が二つあります。一つは、「獨楽庵」と呼ばれる三畳台目右勝手席です。

三畳台目というのは、三畳敷きの客座と、台目(一畳の3/4の広さの畳)の点前座(点前をする場所)を有する席をいいます。四畳半より狭い茶室を「小間(こま)」と総称しますが、三畳台目である獨楽庵も小間に分類されます。

小間は侘びの席です。何故なら、本数寄の象徴である台子を置くことができないからです。敢えて台子を遠ざけ、権威、格式から遠ざかったと言うこともできます。この獨楽庵が北鎌倉から移築されたのを契機に、この茶寮が創り出されました。茶寮・獨楽庵の心の拠り所とも言えます。

この茶席の特徴は、極太の床柱です。奈良興福寺の古材を使い、荒々しさの中にも品格を保っているのは、その出自のなせる業でしょうか。もう一つの特徴は、右勝手という構えです。一般の茶席は、点前座から見て右側にお客様が座ります。獨楽庵は、逆に点前座の左にお客様が座ります。その意味は・・・・。ある人は、「いくつかの茶席を一棟に集めると、仕方なく右勝手になってしまう席が出てくる」と言いますが、それでは説明がつきません。なんと言っても、獨楽庵は主人なのですから。では、本当の意味は・・・それは、実際にここにお客様を招き茶を点ててみなければわからないのかもしれません。

右勝手(逆勝手とも言う)は、簡単な茶席ではありません。しかし、その意味を探るためにも積極的に使っていきたいと思います。