茶寮「獨楽庵」には、三畳台目の小間席が二つあります。一つは、「獨楽庵」と呼ばれる三畳台目右勝手席です。
三畳台目というのは、三畳敷きの客座と、台目(一畳の3/4の広さの畳)の点前座(点前をする場所)を有する席をいいます。四畳半より狭い茶室を「小間(こま)」と総称しますが、三畳台目である獨楽庵も小間に分類されます。
小間は侘びの席です。何故なら、本数寄の象徴である台子を置くことができないからです。敢えて台子を遠ざけ、権威、格式から遠ざかったと言うこともできます。この獨楽庵が北鎌倉から移築されたのを契機に、この茶寮が創り出されました。茶寮・獨楽庵の心の拠り所とも言えます。
この茶席の特徴は、極太の床柱です。奈良興福寺の古材を使い、荒々しさの中にも品格を保っているのは、その出自のなせる業でしょうか。もう一つの特徴は、右勝手という構えです。一般の茶席は、点前座から見て右側にお客様が座ります。獨楽庵は、逆に点前座の左にお客様が座ります。その意味は・・・・。ある人は、「いくつかの茶席を一棟に集めると、仕方なく右勝手になってしまう席が出てくる」と言いますが、それでは説明がつきません。なんと言っても、獨楽庵は主人なのですから。では、本当の意味は・・・それは、実際にここにお客様を招き茶を点ててみなければわからないのかもしれません。
右勝手(逆勝手とも言う)は、簡単な茶席ではありません。しかし、その意味を探るためにも積極的に使っていきたいと思います。