茶室の力

茶室は、自己主張が極めて強い空間だと思います。施主の意図、茶道観が濃厚に反映されています。茶苑獨楽庵の中心をなす三畳台目台目席「獨楽庵」は、数寄の空間だと思います。

そもそも、茶道に生きる人間として、右勝手(いわゆる逆勝手)は正直、鬼門です。普段さんざ、「畳目いくつ」、右だ、左だと眉間に皺を寄せて点前に向き合っていても、右勝手の前では無力です(普段から、そういうこともあろうかと、稽古をされている方は別ですが)。

加えて、「獨楽庵」には、失敗も笑って済まそうというおおらかさがあります。こんな情景が目に浮かびます。最近、数寄の道に入り、道具もそれなりに揃えた何某を誑かし、獨楽庵で亭主を勤めさせようと、先輩諸氏が画策。新米数寄者の何某は、冷や汗をかきながら右勝手と格闘。その四苦八苦ぶりを先輩諸氏は後席のご馳走とする。こんなシーンが頭に浮かびます。

四苦八苦ぶりを肴にされた新米数寄者が、「この右勝手(逆勝手)どのように使えばよろしいのでしょうか」と先輩諸氏に問うと、先輩は「わしゃ、やったことないから知らん」と。そんな風景を自然と思い浮かべる獨楽庵です。

要は、硬いことは言わずに、お茶を楽しみましょう  と。これが獨楽庵が発するメッセージです。

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