正座

お茶=正座 と考えている方、多いようです。

茶室は正座をして全てがいい塩梅になるように造られていますし、道具を手に取って眺める時も正座(畳に近い)の方が安全です。一方で、日本の住宅から和室が急速に減っているいま、正座をする機会さえほとんどなくなっています。

獨楽庵にも「正座ができないのですが、大丈夫ですか?」というお問い合わせを多数頂きます。そのようなお客様には、席中に椅子をご用意しています。正座ができないというだけで、茶の湯を遠ざけるのはあまりに残念です。正座に少しでも不安をお持ちなら、椅子をお使いいただくことで、安らかな気持ちでお茶に対することができます。大事なのは、「安らかな気持ち」だと考えています。不安がないからこそ、心を開き、五感を研ぎ澄ませ、感受性を高めることができます。

立礼という作法があります。立礼机(りゅうれいじょく)と呼ばれるテーブルを使ってお茶を点てる方法です。獨楽庵でも、立礼を取り入れて行きたいと思います。ただし、立礼には未だ未消化の部分も多く残されています。正座と同じ体験が提供できるか、創意が求められます。単に快適を求めるだけであれば、それは茶の湯体験の質を落としてしまいかねないからです。

獨楽庵で立礼をやるからには、体験の質を高める方法を模索しながら続けていきたいと考えています。

*写真の立礼机は、茶道宗徧流十一世家元 幽々斎宗匠考案の『力囲棚』です。

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